妊婦は、妊娠初期から様々な検査が行われます。
それぞれの検査項目で何を見てるのか、まとめます。
1.妊娠の検査項目は?
①ABO式血液検査
②Rh式血液型
③不規則抗体スクリーニング
④血算
⑤HBs抗原
⑥HCV抗体
⑦風疹抗体
⑧梅毒
⑨HTLV-1抗体
⑩HIV抗体
⑪血糖
⑫トキソプラズマ抗体
⑬子宮頸部細胞診
⑭クラミジア
⑮B群溶血性レンサ球菌(GBS)
⑯超音波検査(エコー)
病院やクリニックによっては、+αで検査していることもあります。
基本的には上記の通りです。
2.検査項目内容
①ABO式血液検査
血液型を調べます。
まれに、自分の認識していた血液型と違うこともあります。
出産時は、予期せぬ大量出血が起こることもあります。
輸血が必要なときに、正確な血液型を知っておく必要があります。
また、
- 母がO型
- 父がA型B型AB型
のときに、ABO式血液型不適合が起こり、新生児黄疸が重症化する可能性があります。
ほとんどが無症状で、予後も良好なことが多いです 。
それに黄疸は、古い赤血球の排出が追いつかない新生児特有の症状であり、生理的黄疸は誰しもに起こり得ます。
(※母がO型、父がA型B型AB型のとき、子がA型かB型になる。母に抗A抗体、抗B抗体が作り出される。赤ちゃんに抗体が流出すると、貧血や黄疸を強く引き起こす可能性がある。)
参考文献
病気がみえるvol.10 産科 第3版 p157
②Rh式血液型
血液型不適合を調べる項目です。
血液型にはRh型があり、Rh(-)かRh(+)に分かれます。
日本人はRh(-)が少ないですが、母がRh(-)で、父がRh(+)のときに、Rh式不適合妊娠となります。
赤ちゃんはRh(+)になると、母と型が異なります。
この不適合があると、赤ちゃんから母に抗原が流れ出て、これに対する抗体が作り出されます。
2回目以降の妊娠の際、赤ちゃんに1回目の妊娠で作り出された抗体が流れると、貧血や黄疸が生じ、重症化します。
私が臨床で働いているとき、一年間に数人、Rh式不適合妊娠の患者さんを見ました。
血液検査をしたり免疫グロブリンを注射をしたりすることで、予防ができます。
※抗原は症状を起こす物質のこと、抗体とは抗原を認識して攻撃する物質のこと。
参考文献
病気がみえるvol.10 産科 第3版 p152‐153
③不規則抗体スクリーニング
Rh型(-)の中にも複数の種類の抗体があり、その他にも多数の抗体があります。
こういったものを不規則抗体と呼びます。
輸血時や出産時に影響がないか、スクリーニングが必要となります。
参考:日本赤十字社資料
https://www.jrc.or.jp/mr/news/pdf/1511-145%E3%80%90%E6%A0%A1%E4%BA%86%E3%80%91.pdf
④血算
赤血球数(RBC)、白血球数(WBC)、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数などの血液の成分についての項目です。
妊娠初期だけでなく、中期や後期でも検査します。
妊娠中は赤血球は増えますが、血液内の水分が増えていくので、赤血球やヘモグロビン、ヘマトクリットの値が、低くなっていきます。
貧血が起きていないか、悪化していないか、薬が必要かを判断します。
また、白血球も妊娠すると増えます。
異常な増殖は、なんらかの感染症が生じている可能性があります。
病的な感染症があれば、治療が必要になります。
血小板は血を止める作用のある成分です。妊娠すると増えます。
血小板が減ってしまう病気もあるため、出産時の大量出血に備え、治療が必要になります。
参考文献
病気がみえるvol.10 産科 第3版 P38
⑤HBs抗原
B型肝炎ウイルスに感染しているかの項目です。
B型肝炎ウイルスに感染していると、感染対策をして出産することになります。
また、出産後に赤ちゃんにワクチン接種することになります。
すでに赤ちゃんが感染していることがわかれば、ワクチンは中止になります。
母乳感染はまれであると考えられているため、母乳をあげることができます。
私が臨床で働いているときには、海外の方でB型肝炎ウイルス陽性の妊婦は見たことがありますが、日本人は見たことがありません。
日本人の感染者は少ないと感じます。
参考文献
病気がみえるvol.10 産科 第3版 P212
⑥HCV抗体
C型肝炎ウイルスに感染してるかの項目です。
血液感染や性行為感染が原因となります。
帝王切開での出産が必要となります。
B型肝炎よりも、出産後の赤ちゃんへの予防法が確率されていません。
母乳は感染率を上げないとされているため、母乳をあげることができます。
参考文献
病気がみえるvol.10 産科 第3版 P213
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